イギリスに「ファーネル」というテディベアメーカーがあったことをご存知ですか?現在では、イギリスのテディベアメーカーといえば、「メリーソート」を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は、かつて、「ファーネル」が栄華を極めていた時代がありました。そして、「ファーネル」は、「メリーソート」ととも関係が・・・
今回は、そんな「ファーネル」について調べてみました。
イギリス最古のテディベアメーカー
「J.K.ファーネル社」はイギリスで、最も古いぬいぐるみメーカーとして、ヘンリー&アグネス・ファーネルという、兄妹によって、1906年に設立されました。
もともとは、ヘンリーとアグネスの父、ジョン・カービー・ファーネルが、1840年に、ノッティングヒルで会社を興したことが始まりで、当時は、ぬいぐるみではなく、ピンクッションや、ティーコジーなどを作っていたそうです。
しかし、1897年、父親がが亡くなると、ヘンリーとアグネスが会社を継ぎ、ロンドン西部にあるアクトンでぬいぐるみを作り始めたのでした。
頂点を極める
そして、「ファーネル」は、1925年、「アルファ」がトレードマークの、「アルファ・ベア・シリーズ」を発表すると、瞬く間に、ロンドン、パリ、ニューヨークにショールームを置くほど急成長を遂げ、一流テディベアメーカーの地位を確立します。
その後、1934年には工場が焼失するも、その翌年には、新シリーズで復活を果たし、自ら、「世界最高のぬいぐるみメーカー」と、称するようになったのでした。
「メリーソート」が買収
しかし、栄華を極めた「ファーネル」も、1960年に、ついに取引を中止。
それでも、1996には、大手テディベアメーカー、「メリーソート」が、「ファーネル」の版権を取得し、「ファーネル」のテディベアの、レプリカを製造、販売しているので、私たちは、「ファーネル」の特徴を兼ね備えたベアを、現在も、購入することができます。
ちなみに、「メリーソート」は、「ファーネル」と「チャドヴァレー」の幹部を招き入れ、1930年に設立していることから、「メリーソート」の初期の頃のベアも、「ファーネル」や「チャドヴァレー」の、ベアの特徴を兼ね備えています。
「クマのプーさん」は「ファーネル」のテディベア
ところで、「クマのプーさん」の作者、ミルン氏の奥さんが、1921年、ロンドンの有名百貨店、「ハロッズ」で、1歳になる息子、クリストファー・ロビンの誕生日のお祝いに、テディベアを購入したのですが、
当時、「ファーネル」が、独占的に「ハロッズ」のベアを作っていたので、このベアは、「ファーネル」の工場から来た、「アルファ・ベア」だと言われています。
その後、ミルン氏が、クリストファー・ロビンが、このベアと遊んでいる姿にインスピレーションを得て、「くまのプーさん」を書いたといわれているのですが、残念ながら、私達がよく知る「プー」さんと、クリストファー・ロビンの「プー」さんは、ルックスが似ていません!
クリストファー・ロビンとプー
ディズニーアニメのクリストファー・ロビンとプー
これは、挿絵を担当したシェパード氏が、ベアだけ、自分の息子のものを、モデルにしたからだそうです。
(そのベアは大型犬に襲われて現存していません!)
なので、一般的に知られている「クマのプーさん」は、「ファーネル」のものではなく、「シュタイフ」のものだったと言われているのですが、
もし、挿絵の「プー」さんが、「ファーネル」のベアだったら、また、全然違う雰囲気になっていたことでしょうね。
現在はニューヨークで暮らすプー