「サン・アロー」社のアイドル、うさぎのラッキー、クマのマック、そして犬のサンディはどのように誕生したのでしょうか?彼らのルーツについて、気になったので調べてみました。

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「サン・アロー」とは?

その前に、まず、「サン・アロー」について、少しご紹介すると・・・

モンチッチの出身である「セキグチ」と、ラッキー、マック&サンディの出身である「サンアロー」は、ファミリー企業で、「セキグチ」は、長兄の関口晃市氏が代表取締役会長、「サンアロー」は、三男の関口芳弘氏が代表取締役となっており、「サン・アロー」は、「セキグチ」からの出資で設立されたそうです。

ちなみに、「サン・アロー」は英語で「sun arrow」と書くのですが、3人兄弟で経営していたため、毛利元就の「3本の矢」から考え出されたそうで、

また、

太陽に矢が勢いよく刺さる、突進していくような情熱のある会社にしたい

との意味がこめられているそうです。

現代だと、「ぬいぐるみ」の会社といことで、癒やしっぽい名前をつけそうですが・・・

昭和っぽい、とても勢いのある素敵なネーミングですね♪

「森のパーティー」がヒット商品となる

さて、「セキグチ」は、1974年、国内マーケットにモンチッチをデビューさせると、翌年の1975年には、海外に輸出し、大ヒットとなります。


モンチッチ

ただ、国内でもヒット商品を出したかった関口芳弘氏は、(モンチッチの売上が下火になってきたこともあり、)1978~1979年頃、国内販売について考え始めたそうです。

そこで、「サン・アロー」は1979年、「森のパーティー」というクマや犬などの小型のぬいぐるみ(マスコット)を企画し、発売すると、たちまちヒットを記録。


「森のパーティー」

1980年には4億円、1981年には4億5000万円、1982年には、12億円と売上は順調に伸び、このヒットで、海外への輸出から国内販売へと、スムーズに移行することができたそうですが・・・

ラッキー、マック&サンディが誕生

「森のパーティー」は、堅実にヒットを飛ばすことができたものの、大ブレイクとまではいかず、関口氏は次の商品の案を考え始めます。

そこで、企画されたのが、「森のパーティー」のかわいさを残した、一般的なサイズのぬいぐるみで、

関口氏は、著書「夢一途」の中で、そのことについて、

クマ、犬、うさぎの3タイプとし、顔を大きくした3頭身にデフォルメし、目、鼻、口、耳などは、簡素化しつつもかわいさを醸し出せるようにていねいな調整をした。例えば、目は内部から糸で引っ張ってくぼみをつくるのだが、この引き具合などもいちいちこだわった

と、綴っておられます。

さらに、「服を着せる」というアイディアを採用されます。

当時、ぬいぐるみに服を着せた商品はほかのどこにもなかったそうですが、関口氏は、子どもの頃から、人形作りを見て育たれたため、自然と、ぬいぐるみを擬人化して洋服を着せることが想像できたそうで、(モンチッチも着せ替えで成功していたこともあり)抵抗なくこのアイディアを採用できたそうです。

また、衣装については、当時、英国で、若い世代の間で流行していたリバティプリントを採用。

リバティプリントとは、小さな花柄が特徴の「英国リバティ社」のオリジナル生地のことをいい、その柄を参考にドレスを作ることにしたのだそうです。(ラッキーが着用しています)


リバティ柄

こうして、ラッキー、マック&サンディが誕生。

1982年に発売されると、「森のパーティー」を上回る大ヒットとなり、またたく間に「サン・アロー」のメイン商品となったのだそうです。

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30年にわたるロングセラーに

その後、ラッキー、マック&サンディは、毎年、サイズや洋服を変えて販売し続け、なんと、20年以上にわたる超ロングセラーに。

2002年にいったんサンディは販売終了となったものの、2017年には復活し、販売開始から30年以上経った現在も、ラッキー、マック&サンディは商品化されているのです。

(さすがに関口氏も、これほど長い間、売れ続けるとは思っていなかったとか)

ちなみに、売上はトータルで100億円を超えているとのことで、ラッキー、マック&サンディは「サン・アロー」の「看板ぬいぐるみ」となったのでした。

関口氏は、著書「夢一途」の中で、

アニメや絵本などを原作としたキャラクターのライセンス商品ではなく、ノンキャラクターのぬいぐるみでこれだけ売れた商品は、もんちっちを別とすれば他にないと思う。ラッキー、マック&サンディは、「サン・アローの・・・」というより、日本のぬぐるみの商品の定番だと私は自負している

多くの人が、ぬいぐるみを含む玩具商品は寿命が短いと思っているかもしれないが、人形やぬいぐるみなどは、一度世の中に受け入れられると5年10年と継続的に売れ続ける。重要なことは最初にどうやって受け入れてもらうかということである。ラッキー、マック&サンディは、かわいさとセンスの良さをぬいぐるみ本体だけでなく服を着せることで表現して、他のぬいぐるみと差別化することができた。

私は、ときどき昔のカタログを開いて見ることがあるが、発売当初のラッキー・マック&サンディからは今でも新鮮なものを感じる。商品としてもまったく陳腐化しておらず、もし今、そのまま店頭に出しても十分に売れると思う。世の中では、商品開発にイノベーションが必要だという。機能的な商品では確かにそれが必要だろうが、感性的な商品ではどうなのか。むしろ、普遍性や究極を追求することが大切なのではないかと感じる。その意味で、超ロングセラーを自社が持つことで、かけがえのない体験をすることができたと思う。

と、ラッキー、マック&サンディに対する想いを綴っておられます。

ちなみに、関口氏は、「森のパーティー」のぬいぐるみのサンプルを、金庫に入れて保管されていたそうですが、海外出張中に、ふと、ぬいぐるみたちの息が詰まるのではないかと思い、会社で働くお姉さんに電話をして、金庫から出してもらった、というエピソードを披露されており、関口氏のこだわりと、強いぬいぐるみ愛を感じますね♪