最近、「ビング社」のベアにはまり、いろいろ調べているうちに、とても興味深い記事を見つけたので、ご紹介したいと思います♪
50年来のコレクションをオークションへ
2017年、ジル・バーカー(Jill Barker)さんというイギリスに住む70歳の女性が、20代の時から、なんと、50年以上に渡ってコレクションしてきた、35体の、ビング社を含むアンティークベアをオークションに出品したそうです。
ジルさんは、子どもの頃から、テディベアに寄り添って寝ていたことから、お人形ではなく、テディベアが大好きだったそうですが、8歳の時、猩紅熱(しょうこうねつ)にかかってしまい、テディベアが汚染される恐れから、すべて焼き捨てなければならなかったそうで、ジルさんは、この悲しい経験がきっかけで、以来、ベアに情熱を注ぐようになったそうです。
まるで生きているみたいなベア・・・ジルさんの愛情を感じます。
オークションに出品した理由は?
ところで、そんなテディベア愛にあふれるジルさんが、なぜ、ベアたちを手放そうと思ったのでしょうか?
ジルさんは、70歳の誕生日を迎えると同時に、ベアたちの行く末が心配になったそうで、
子どものいないジルさんにとって、一番恐れていることは、
もし自分が何もしなければ、ベアの価値が分からない人たちに、家の掃除をされてしまう
と、いうことだったのです。
そもそも、8歳の時に(病気とは言え)大好きなテディベアたちを焼き捨てられてしまったことがきっかけで、古いベアたちを守りたくてコレクションを始めたジルさんなので、ベアが、再び捨てられるなんて、想像しただけでも耐え難かったに違いありません。
ジルさんのベアたちは、オークションで出品されるまでは、ヴィンテージの店で購入した洋服を着て、ジルさんの自宅にあるベアだけの部屋「ベアルーム」で暮らしていたそうです。(なぜ服を着ているかというと、服がベアの毛を守ってくれるからだとジルさんは説明されています)それにしても、素敵なお部屋ですね~♪
ビング社(Gebrüder Bing)の歴史あるベア
ところで、このオークションに出品されているジルさんのベアの中で、2体の古い時期のビング社(Gebrüder Bing)のベアが、ジルさんのイチオシのようです。
一体は、1908年に作られたもの、もう一体は1920年代に作られたもので、2体ともモヘアでできています。
1920年代に作られたベアは、2007年にロンドンの「クリスティーズオークションハウス」から購入したものだそうで、以前の持ち主は、ドイツのシュトゥットガルトに住む、エミ・ブルックマンさんという方なのだそうです。(存命中だったかは不明)
エミ・ブルックマンさんが所有していたビング社のテディベア
このベアは、1926年12月、エミさんの1歳の誕生日にお父さんからプレゼントされたものだそうですが、ベアの方が背が高く、エミさんはとても怖がったというエピソードがあり、また、(子ども時代の)エミさんとベアが一緒に映っている写真もあります。
幼い頃のエミ・ブルックマンさんとベア。まだちょっと怖がってる?
オークションでは、こんなふうにもとの持ち主とのエピソードや写真があれば、とても価値が跳ね上がるそうですが、もし、証拠となるようなものがなくても、
すべてのベアに歴史があります。
彼らは、2つの大戦をくぐり抜けて来たのです。
と、ジルさんが語っておられるように、そんな彼らの物語に思いを馳せられるのも、アンティークベアの良いところですね。
ちなみに、その後、ジルさんのベアたちに新しい家が決まったのか、続報がなく分かりませんでしたが、ベアたちが、新しい持ち主とともに、新しい人生を歩んでいればいいな、と思いました♪