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アルフォンゾ ~ロシアの赤いテディベア~

アルフォンゾは、ロシア帝国の王女ために、
作られ、悲劇の運命に翻弄された王女の、
心の支えとなった、テディベアです。

今日は、そんなアルフォンゾについて、
ご紹介しましょう。

テディベアをプレゼントされる

ロシア帝国の王女、クセニヤ・ゲオルギエヴナは、1908年、
5歳の誕生日に、

父親で、ロシア大公ゲオルギー・ミハイロヴィチ・ロマノフから、
真っ赤なテディベアをプレゼントされます。

このテディベアは、父が、娘のために、
ドイツのシュタイフ社に特注で作らせたもので、

クセニヤはとてもこのベアを気に入り、
「アルフォンゾ」と名付けると、
どこへ行くにも連れて行ったのでした。

クセニヤと父親のロマノフ大公

永遠の別れ

しかし、幸せな日々は長くは続かず、1914年夏、
クセニアが、母と姉、そしてもちろんアルフォンゾも一緒に、
イギリスのバッキンガム宮殿を訪れているさなか、
第一次世界対戦が勃発し、
ロシアへの帰国を阻まれてしまいます。

さらに、第一次大戦後の1917年、
祖国ロシアでは、ロシア革命が起こり、

とうとう、1919年、
ロシア大公であったクセニアの父親は、
処刑されてしまうのでした。

祖国に帰ることなく・・・

その後、クセニアは、1921年、18歳の時、
パリで知り合った、アメリカ人の大富豪と結婚すると、
アメリカで暮らしていたそうです。

そして、1965年、62歳で、
その生涯を閉じたのですが、
二度と祖国ロシアの地を踏むことはなかっただそうです。

オークションへ

月日は流れ、1989年、
アルフォンゾは、イギリス、クリスティーズのオークションに
かけられると、テディベアコレクターで、
ショップ「Teddy Bear Of Witney」のオーナーである、
イアン・パウト(Ian Pout)さんによって、
12,100ポンド(当時約250万円)という記録的な価格で、
落札されたのでした。

イアン・パウトさんとアルフォンゾ

アルフォンゾをオークションに出品したのは、
アメリカに住む、クセニアの娘さんだったのですが、

この娘さんによると、
クセニアは、アルフォンゾを片時も、
離さなかったそうです。

クセニアにとって、アルフォンゾだけが、
大好きだった父親や祖国を思い出せる、
唯一のものだったのでしょうね。

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アルフォンゾ来阪

さて、アルフォンゾは、2013年、
梅田の阪急百貨店で行われた、
「テディベア誕生111周年 特別企画展覧会
王女の愛したテディベア」のため来阪しています。

私は、アルフォンゾに会いに、
この展覧会に行ってきたのですが、

この小さな、愛らしいクマが、
王女を生涯に渡って支えていたのかと思うと、
なんとも言えない気持ちになりました。

王女の気持ちがたくさん詰まった、
アルフォンゾは、2017年で109歳。

現在も、イアン・パウトさんのもとで、
大切にされているとのことで、

つい、人間ふうに、
穏やかな老後を送って欲しいと、
思わずにいられませんでした。